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パルクールの原点へ:自由を探す時空の旅(第1章:現実世界の挑戦)

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 2024年12月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月20日



丸月城のふもと、

公園での出会い



青空が広がる快晴の日、陽ノ川県を象徴する名所「丸月城」が威風堂々と佇んでいた。


その麓には広々とした公園が広がり、滑り台やブランコで遊ぶ子どもたち、木陰で読書する若者たち、中高年がジョギングする姿がのどかに混じり合う。


地域ブログを運営するフリーライターの楓は、そんな公園をカメラを手に散策していた。


「何か面白い題材がないかな……」


楓はカメラのレンズを覗き込みながらつぶやく。しかし目に入るのは、ほのぼのとした日常の風景ばかりだ。


その時、公園の一角に人だかりができているのに気づいた。


「何だろう?」


興味をそそられた楓が近づいていくと、驚くべき光景が目に飛び込んできた。



パルクールとの出会い



そこでは若い男性が、コンクリートの壁を勢いよく駆け上がっていた。地面を蹴って一瞬の滞空時間を作ると、手を壁の上端にかけ、そのまま滑らかに体を引き上げる。頂点で一瞬静止した彼は、軽やかに地面へ飛び降りた。


「すごい……!」


楓は息を飲んだ。男性の動きには計算された正確さと無駄のない美しさが宿っていた。


「やったー!」


観客の中から子どもたちの歓声が上がる。その視線の先で、男性は木製の遊具に移動し、柱を蹴って駆け上がると鉄棒に飛び移り、まるで風のように回転して隣の鉄棒へと跳んだ。


楓はその場でカメラを構え、シャッターを切り続けた。その動きに魅了されたのだ。


やがて男性が動きを止め、観客に向かって話し始めた。


「こんにちは! 僕がやっているのは『パルクール』というスポーツです。障害物を越えながら自由に動く技術で、誰でも挑戦できますよ!」


楓はその言葉を聞き、何かに突き動かされるように人だかりを抜けて彼に近づいた。



翔真との会話



「すごい動きでした……!あなたがしていたのがパルクールっていうんですね?」


楓が声をかけると、彼は振り返り、爽やかに微笑んだ。


「はい。パルクールは体ひとつでどこでも自由に動けることを目指したスポーツなんです。」


「自由に動く……気持ちよさそうですね。」


楓は自然と答えていた。


彼は楓に手を差し出しながら名乗った。


「僕は翔真です。パルクールを普及させたいと思って活動しています。」


楓も手を握り返し、自己紹介をした。


「楓です。フリーライターをしていて、地域のことを取材しているんです。」


翔真は楓の話に興味を持ったようで、少し身を乗り出した。


「それなら、もし良ければパルクールの記事を書いてみませんか?」


楓は頷きながら質問を重ねた。


「どうしてパルクールを始めたんですか?」


翔真の表情が一瞬曇る。しかし次の瞬間には柔らかい笑顔を浮かべ、こう語り始めた。


「最初は自分に自信がなくて、何をしてもうまくいかなかったんです。でも、パルクールを通じて気づいたんです。『失敗しても、挑戦することで自分を超えられる』って。」


「挑戦して自分を超える……」


その言葉は楓の心に強く響いた。


翔真は続けた。


「僕たちのパルクールは、誰かを蹴落とす競争じゃない。みんなが笑い合って、互いを讃え合う――そんなカルチャーを体現する大会を、いつか四国で開くのが夢なんです。」


「……!」

楓はその壮大な目標に驚きながらも、翔真の情熱を感じ取った




「あそびフェス」への

第一歩



楓はふと思いつき、提案した。


「いきなりそんな大会を開くのはハードルが高いかもしれませんね。でも、もっと小さいイベントならどうでしょう?」


翔真が興味深そうに聞き返す。


「小さいイベント?」


「パルクールやストリートワークアウトみたいなアーバンスポーツを知ってもらう場を作るんです。そうすれば、参加者が増えて大会への第一歩になると思います!」


翔真の目が輝いた。


「それ、いいですね! 仲間たちにも声をかけてみます!」


こうして、「あそびフェス」と名付けられたイベントの企画が動き出した。

翔真は競技者として、楓は企画のサポート役として、それぞれが役割を担いながら準備を進めていく。



 

次回予告:

初めてのイベントを成功させるため、楓と翔真は地元の協力者を募りながら準備を進めていく。しかし、資金や会場、参加者集めなど、次々と課題が立ちはだかる。

果たして「あそびフェス」は成功するのか? 次回、仲間たちと共に挑む準備の物語が動き出す。

2章は明日11:30更新です


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