パルクールの原点へ:自由を探す時空の旅(3章:挑戦の日、集う人々)
- Emi
- 2024年12月17日
- 読了時間: 4分
更新日:2月20日
迎えた当日――広がる挑戦の輪
澄み渡る青空の下、「あそびフェス」の当日を迎えた。楓と翔真は、朝早くから会場入りして準備に追われていた。
「スラックラインのロープは、もう少し広めにスペースを取ろう。あと、パルクールとストリートワークアウトのブースの間も区切りをはっきりさせて……。」
楓はロープやカラーコーンを使いながら、会場全体の安全面を細かく調整していた。
翔真も出演者たちと共にブースの設置を進めていた。
「ストリートワークアウトの鉄棒は、この位置でいいかな? でも、近くに人が集まりすぎないようにした方がいいよね。」
「お客さんが動線で迷わないよう、ブースの案内をもっと目立たせよう!」
スラックラインチームのリーダー真弓は、親子連れが分かりやすいように案内板を追加で設置していた。
午前10時、ついに「あそびフェス」がスタートした。
会場に集まる人々
開始早々、会場は想像以上の賑わいを見せた。
「これ、無料で見られるの?」「めっちゃすごい!」
親子連れや中学生グループ、サッカー大会に参加していた子どもたちが、ブースを次々と訪れていた。
翔真は会場全体を見渡しながら驚きの表情を浮かべた。
「こんなに人が集まるなんて……。」
楓は微笑みながら答える。
「みんな、あなたたちのパフォーマンスを楽しみにしてるんだよ。」
翔真は大きく息を吸い込み、気を引き締めるようにうなずいた。
人々を魅了するパフォーマンス
最初のプログラムはスラックラインからスタートした。
「よーし、行くよ!」
真弓の息子がロープの上でバランスを取りながら跳ねると、子どもたちは目を輝かせ、
「僕もやってみたい!」と次々に声を上げていた。
次に登場したのはストリートワークアウトだ。会場には有名なアニメ主題歌が流れ、藤岡たちが鉄棒を使ったパフォーマンスを披露した。
「ほら、見てろよ!」
1人目の出演者が鉄棒を掴むと、そのまま体を真横に伸ばして「こいのぼり」のようなポーズを決めた。観客席からは大きな歓声が上がる。
次に登場したのはダンスが得意な若いメンバーだ。彼はリズミカルに鉄棒を使いながら、ムーンウォークのようなステップを披露し、軽やかに観客を魅了していく。
続いて藤岡が登場すると、鉄棒を勢いよく回転しながら跳び移る大技を決めた。演技が終わるたびに観客は拍手喝采を送っていた。
そして最後は、翔真たちによるパルクールだ。
会場の中央に設置されたのは、単管パイプで作られた巨大なジャングルジムのようなセットだ。高さや幅の異なるパイプが複雑に配置され、見ただけで挑戦心をくすぐる作りになっていた。
「行くぞ!」
翔真が勢いよく駆け出すと、パイプの上を軽やかに駆け上がり、空中で1回転して着地する。
その後、反転してから片手でバーを掴み、流れるように体を移動させると、観客からは「すごい!」と感嘆の声が上がった。
翔真の仲間たちも続く。
アンダーバー(バーの下をくぐる動き)を滑らかに披露した後、バランスを崩すことなくスムーズに別のパイプへ移動していく。最後に仲間たちが一列に並んで大ジャンプを決めると、観客は熱い拍手で応えた。
想定外のトラブル
昼過ぎ、体験会が予想以上の参加者で混雑し始めた。
「無料の体験会、どこに並べばいいの?」
「まだ続けてる子がいるみたいで、なかなか順番が回ってこない……。」
親たちからの苦情が増え、受付スタッフは対応に追われていた。
「このままだと回らないね。」
楓はスラックラインの真弓と話し合い、体験時間を短縮することで回転率を上げることに決めた。
一方、翔真はパルクールのブースを一旦閉め、体験希望者の誘導に回った。
「ここは俺たちでフォローしよう。安全第一でやらないとね。」
二人が連携して対応したことで、混雑は徐々に解消され、会場には再び笑顔が戻ってきた。
イベントの終わりと次の課題
午後4時、イベントは無事に終了した。
「今日は最高だったね!」
真弓が満足げに笑う。
子どもたちは「またやりたい!」と声を弾ませ、親たちからも好評の声が寄せられた。
「こんなイベントがあるなんて知らなかったけど、すごく楽しかった!」
参加者たちからは嬉しい感想が次々に寄せられた。
出演者たちも達成感をにじませていた。藤岡は笑いながら言う。
「最初はどうなるかと思ったけど、やってよかったな!」
しかし、楓と翔真の表情には、次の課題を見据えた緊張感があった。
「資金や人手の問題、出演者の負担……。次はどうするか考えなきゃね。」
楓がそう呟くと、翔真もうなずく。
「でも、今日みたいにみんなで協力できれば、きっと次も大丈夫だ。」
二人は成功への手応えを感じながらも、次回に向けて改めて課題に向き合う決意を固めた。
次回予告:
イベントの後片付けを終えた楓が、ふと目にした古いコンパス。何気なく手に取ったその瞬間、彼女は不思議な光景に包まれる――。次回、パルクールのルーツを探る時空を超えた冒険が始まる!
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