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パルクールの原点へ:自由を探す時空の旅(第2章:仲間と動き出す)

  • 執筆者の写真: Emi
    Emi
  • 2024年12月11日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月20日


仲間への呼びかけ



「あそびフェスをやろう!」


楓の提案に背中を押された翔真は、地元で活動するアーバンスポーツ仲間に声をかけ始めた。


まず向かったのは、丸月城の裏手にある公園。この場所は、鉄棒が設置されていることから地元のストリートワークアウトチームの練習場として知られている。


「おーい、翔真! 今日は何の用だ?」


筋肉質でがっしりとした体格の男性が鉄棒から降りながら声をかけてきた。彼の名前は藤岡健一。40代の彼は元スタントマンで、地元では少し名の知れた存在だ。普段は若者たちにストリートワークアウトを教え、良き兄貴分として慕われている。


翔真は少し照れながら切り出した。


「実は、『あそびフェス』っていうイベントを企画していて……。健一さん、ストリートワークアウトのパフォーマンス、参加してもらえませんか?」


藤岡は腕を組み、少し考え込むような顔をした。


「イベントか……面白そうだな。でもな、俺たちが人前で演技するなんて初めてだし、正直、何をやればいいのか見当もつかないぞ?」


翔真は真剣な表情で答えた。


「普段の練習の延長でいいんです。技が完璧じゃなくても、見ている人たちはそれを『すごい』と思ってくれるはずですから。」


その言葉に藤岡はしばらく沈黙したが、やがて鉄棒を叩きながら笑った。


「そうだな、何事も挑戦だ。やってみるよ。仲間にも声をかけてみる!」



協力者たちの力



イベント準備は、少しずつ形になっていった。ストリートワークアウトチームは、どんなパフォーマンスを披露するか話し合いながら練習に励んでいた。


「鉄棒のパフォーマンスだけで盛り上げられるかな?」


「いや、むしろ子どもたちにわかりやすい力技を見せるだけで十分ウケそうだぞ。」


その声に翔真が口を挟む。


「健一さん、ゆっくりした動きも観客の目を引きますよ。例えば、鉄棒で『人間の旗』みたいに横向きに静止する動きとか、動作をスローモーションに見せるのも効果的だと思います。」


「なるほどな!」


藤岡は仲間たちと顔を見合わせ、満足げにうなずいた。


「やるからには最高の初陣にしようぜ!」


一方、スラックラインチームも準備に熱を入れていた。チームリーダーの真弓は、主に子どもたちが楽しめる体験会を考えていた。


「うちの息子たちも先生役にしていい? 子ども同士なら気軽に声をかけ合えると思うの。」


真弓の提案に楓は目を輝かせた。


「それ、いいですね! 親子で楽しめるブースにぴったりだと思います!」


また、地元のお母さんたちのグループも、軽食の販売や会場準備に協力を申し出てくれた。




資金や人手の問題




「体験会の参加費、有料にする? 無料にする?」


翔真と楓は、資金面と安全性の両立について話し合っていた。


翔真は腕を組みながら言う。


「初めてのイベントだから、なるべく無料にして、たくさんの人に体験してほしいな。」


楓は首をかしげた。


「でも、無料だと安全管理が難しくなるかもよ。体験希望者が多すぎると、ちゃんと教えられないし、ケガのリスクも増える。」


その言葉に翔真はハッとした。楓は続ける。


「お金を払って参加する人は、それだけ本気で体験したいと思ってるから、集中してくれるし、指導もしやすいと思う。それに、収益は次のイベントの準備にも使えるし。」


翔真は真剣な表情でうなずいた。


「たしかに……無料にするだけじゃ難しい部分もあるな。じゃあ、体験会は有料にしよう。ただ、無料で気軽に遊べるブースも設けたい。」


楓も笑顔で答えた。


「親子で遊べるコーナーがあると、もっとフェス全体が楽しくなるよね。」



いよいよイベント当日へ



会場となる蓮山湖ボールパークは、広々とした芝生のグラウンドを備えた施設だ。準備のため何度も足を運び、会場の安全性を確認した楓と翔真は、前日に最終チェックを終えた。


「看板を立ててお客さんが迷わないようにしよう。」


「パルクールのセットやスラックラインの位置は、できるだけ観客にわかりやすいように並べたい。」


二人は協力者たちと一緒に、安全性や動線を考慮しながら、細かい調整を進めた。


夜になり、グラウンドを離れると、楓と翔真は深呼吸をした。


「準備、大変だったね。でも、いよいよ明日だ。」


楓が言うと、翔真は少し緊張した顔で答えた。


「初めての挑戦だから、不安もある。でも、やるしかないよな。僕にとってパルクールも最初はそうだったから。」


「みんなで力を合わせたんだから、きっと大丈夫だよ。」


楓の励ましに翔真は笑顔を返した。そして夜空を見上げると、小さくつぶやいた。


「楽しみだな。」


 

次回予告:


ついに迎えた「あそびフェス」の当日。観客の反応や、仲間たちのパフォーマンスはどうなるのか? 想定外のトラブルが起きる中、楓と翔真たちはイベントを成功に導けるのか?

次回、地域を巻き込んだ挑戦の結果が明らかに!

火曜日11:30定期更新です




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