刀好き、ついに市民権を得る!
- Emi
- 2024年12月8日
- 読了時間: 4分
更新日:3月18日
刀好きは昔、おじいちゃん達の趣味だった?
私が刀と出会った頃、
たぶん刀剣は一部の年配男性の趣味という立ち位置だった。
郷土の資料館や小さな博物館で、年に一度くらい刀の展覧会が開かれていたが、大っぴらに
「刀を見るのが好きなんです!」なんて言うことはなかったし、
「今度刀剣の展覧会に行くけど、一緒に行かない?」と、誰かを誘うこともなかった。
展覧会に行けば、たいてい刀剣愛好会の会員のような地元のファンがいて、刀の手入れをしたり、数人で楽しそうに盛り上がっていた。
そんな中で、ひとり静かに刀を眺めていた私は、少し浮いていたかもしれない。
それでも、刀剣好きのおじいちゃん達は「刀好きなんかね?」
なんてそっと声をかけてくれて、
展示されている刀についていろいろ話を聞かせてくれることも多かった。
刀剣乱舞が巻き起こした「刀剣ブーム」
私と刀の関係は変わらなくても、世の中は変わる。
アニメやゲームの影響で、女性や子供を中心に刀剣ブームが起こると、ささやかに刀剣の展覧会をしていた資料館でも「刀剣乱舞」コラボの展覧会が実施され、全国からたくさんの女性や親子連れが刀を見るためにやって来た。
ゲーム「刀剣乱舞」は、刀を擬人化したキャラクターが活躍する人気作品。
女性を中心に一大ブームを巻き起こし、その波が一地方の小さな資料館にも押し寄せたのだ。
さすがに京極家由来の資料館だけあって、実際にゲームに登場する刀が所蔵されていたらしい。
借りてきた刀ではなく、
所蔵されている刀だからこそできる、
入館料も普段と同じ無料のままの刀剣乱舞コラボ展示会。
それはもう、
まるでお祭り騒ぎのような熱気に包まれていて、資料館の年間入場者数を1日で突破したと言っても大げさではないほどの人の多さだった。
ブーム前の展覧会は静寂そのもの。
刀を見ている自分以外に数人いるかいないかだった。
いつも刀剣を愛する地元の方々と
密やかに刀を見ていた私だけど、
「大人気な展覧会の刀」も悪くない。
見られてる刀たちも、きっと新鮮で驚いているのではないだろうか。
刀剣ファン必見!伝説の「ニッカリ青江」
ブーム後に、親子連れや若い女性たちが声をあげて感動する熱狂的な空間に一変させた刀は、通称「ニッカリ青江」という。
重要美術品に認定されているが、
それだけではない。
織田信長の家臣・丹羽長秀から豊臣秀吉へ、そして秀頼から京極家へと伝わったという、有名戦国武将の名が連なったキラキラエピソードがある。
その上、こんな逸話も持っている。
ある晩、武士が歩いていると、目の前に若い女が現れた。その女がにっかり笑う様子が月夜に浮かび上がる。その笑みの不気味さに、思わず斬りかかった瞬間、辺りは静寂に包まれた。そして翌朝、石灯籠が真っ二つ割れた姿がそこにあった。
という南北朝時代の特徴的な怪奇談だ。
ニッカリ青江の展示ケースの中には、そういった説明がしっかり書かれていて、見る人を確実に足止めしている。
刀剣乱舞と若い世代:刀剣展が新しい扉に
昔から変わらずそこにある刀だが、
とりまく状況が変わるにつれ、刀を見たいという人が増えていく。
ゲームやアニメの影響だけでなく、
日本文化や歴史への関心が高まった事も一因だろう。
刀剣展は若い世代が歴史を楽しむ新しい入り口となった。
今ではもう
「実は私、刀を見るのが好きなんです」と言っても、
「えっ?あなたも?」とか、
「そうなんだ!刀っていいよね。」
という会話ができるようになった。
長い間、刀剣趣味はカミングアウトしにくいものだった。
日本酒が好きでも、酒豪扱いされそうで頼みにくい感じに似ているかもしれない。
隠れ刀剣ファンだった皆さんへ
隠れ刀剣ファンだった諸君、喜べ。
今こそ堂々と刀剣愛を語る時代が来たのです。
おじいちゃんの専売特許だった「刀好き」は、ようやく市民権を得たのだ。
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